読むと旅行したくなる純愛小説

恋に不器用な男の書いた純愛ストーリー

2016年05月

ガイドのピリさんに案内され出会った風景

バリ牛

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ウブドのアーティストの絵

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バロンダンス

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ちょっと休憩してランチ 

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すべてが美術館

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極上のエステ

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 アマンダリで突然の雨

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ジェンガラ
なんとも素敵な食器

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可愛い子のお出迎え

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バリでの宿泊先

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そして
佐島さんに褒められた写真

ラデン・サレ ジャワの貴族の妻の肖像
 


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菜緒、今度のクリスマスは休みが取れるわよ・・・ここのところ忙しくってプライベートな時間がなかったからね。」
 

麻起子さんからのプレゼントだ。
 

「じゃぁ・・・どこかにぶらりと一人旅・・・なんて。」
 

「いいよ・・・でも3日しかないからね。そのあとはびっしり仕事よ。」
 

「わかってる・・・3日もあれば十分。」

 

そうして私は今ソウルにいる。

 

久しぶりのジェウォンは自信に満ちて凛としていた。

優しいお兄ちゃんと思っていたジェウオンがこんなにかっこよかったなんて・・・今更ながらに見直した。

 

「どう、調子は?」
 

「会社は辞めようと思っているんだ・・・」
 

「えっ・・・なにかあったの?まだ2年しか経っていないのに・・・」
 

「大学時代の友達とIT関係の会社を立ち上げようと思ってさ・・・菜緒のお父さんみたいに。」
 

「すごい!お兄ちゃんならきっと成功するよ!」
 

菜緒・・・成功したらお前を迎えにきてもいいか?・・・」
 

「えっ?迎えにくるって?・・・私を? 」
 

「成功したらって話さ・・・でも、がんばる・・・その日が来るまでしっかりオレのこと見ていてくれないか」
 

「それって・・・つまり・・・」
 

ジェウォンは、私にとってお兄ちゃんだと思っていた・・・もちろん大事なお兄ちゃん

何でも話せて・・・それでいて私のこと一番良くわかってくれている。

そしてこの2年間ずっと離れていたのに、いつもそばにいた・・・心地よい関係が当たり前だと思っていたけど・・・私・・・ジェウオンがいない生活なんか考えられない

 

ドキドキしていた・・・これってときめき?

 

ジェウォンは私のマフラーを巻き直しながら言った。
 

「バカだな、まだ先の話だ・・・今あわてて返事をしなくていいんだ。オレが菜緒にとってのスンホさんにきっとなってみせる・・・」
 

「うううん、パパになる必要なんてない・・・お兄ちゃんは、お兄ちゃんらしくいて・・・」
 

私の方こそ、もうそろそろパパ離れしなくちゃいけないのよね・・・

 

なんだかうれしくて涙がこぼれて来た。

ママもパパからプロポーズを受けたときにこんな気持ちだったに違いない。

 

アンドレ・ギャニオンの曲は、“めぐり逢い”に始まり、“思い出を重ねて”“とまどい”“ひたむきな愛”“かすかな予感”・・・そして最後は“愛に包まれて”で終わる。

これが私の人生。

 

「菜緒、クリスマスイブはオレが菜緒にプロポーズをした日だ・・・そのことをずっと覚えていてくれ・・・そして、またいつかクリスマスイブに必ずお前を迎えにくる・・・」

 

パパとママが死んだクリスマスイブにプロポーズをうけるなんて・・・私にとって悲しい日を愛の日に変えたかったのね・・・なんてやさしいジェウォン・・・

 

「お兄ちゃん・・・私、待ってる・・・待ってるからね。」

 

あたりを見回すと、クリスマスソングが鳴り響く街を・・・ケーキをもった人々が家路を急いでいる・・・プレゼントを片手に父親の背中で子供が寝息をたてている・・・寒そうにしている女の子の首に母親が自分のマフラーをはずして巻いてあげている・・・カップルが手を繋いで幸せそうに寄り添っている・・・久しぶりのクリスマスの風景・・・こんなに愛に包まれた日だったのね
 

私は、ジェウォンの手を取った・・・父のように温かく・・・やさしさに溢れていた。

 


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でも、私から菜緒に電話をかけることはなかった。

私の都合などおかまいなしに毎日のように菜緒の方から電話があったからだ。
そして私が自分のことを話す暇もなく、菜緒は一方的に今日あったことを1時間ほど話して眠りについた。

 

 


  
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私に何も言わずにジェウォンがいなくなった。

なぜだか私の心にぽっかりと穴が開いた。

 

窓辺の花が枯れている

冷蔵庫のトマトジュースがきれている

そして・・・今日も朝寝坊しちゃった

 

いなくなってわかるジェウォンの細かい気配り

 

そこへ新しい付き人のミナから電話が入った
 

「菜緒さん・・・今日は、1時から雑誌の取材が3本入ってます。その後夕方4時からレコーディング・・・なので、10時にサロンドユキのユキ先生を抑えておきました。9時にはお迎えに上がりますね。・・・それとトマトジュース足りてますか? ん?その感じじゃ今起きたばかりですね?・・・明日から必ずモーニングコールするようにします。あ、そうだ・・・窓辺のお花、お水上げてますか?・・・」
 

きっとジェウォンだ・・・いなくなったけど、今でもそばにいる。

 

急にいなくなったジェウォンにとまどって・・・そしてすねていたけど・・・会いたい・・・無性に声が聞きたくなって電話した

 

「お兄ちゃん? 元気?」
 

「菜緒?どうした?・・・なにかあったのか?」
 

「何もないよ・・・お兄ちゃんはいつも私の心配ばかり・・・そうか、今まで私が心配ばかりかけていたのか」
 

「どうした?今日の菜緒はいつもの菜緒らしくないぞ? そうだ、ミナはどうだ? いい子だろ?」
 

「うん、とてもよく気がつくわ・・・ところで、仕事はうまくいってるの?」
 

「そうだな、まだまだ新入社員だから・・・でも、得意な分野だからやりがいがある・・・」
 

「そうね・・・お兄ちゃん、頭いいもんね・・・ね、ときどき電話くれる?」
 

「あぁ・・・菜緒もつらいことがあったらいつでも電話してこいよ・・・おれは、今でも菜緒のお兄ちゃんだから」


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ジェウォンから手紙が届いた。

彼は、菜緒のマネージャーを辞めて韓国に帰るらしい。

一流大学の工学部を主席で卒業した彼の経歴からすると大企業も放っておいてくれなかったのだろう。
 
そして封書の中に新聞記事の小さな切り抜きが入っていた。

 

“日本で著名な広告カメラマン大沼安彦氏が右目を失明”
 

大沼は、仕事でニュージーランドのクライストチャーチのホテルに滞在していた。
記事によるとカメラのファインダーを覗いていてシャッターを切った瞬間に、そのファインダーが破裂したというのだ。

カメラは、ゼンザブロニカD・・・大沼が昔からほしがっていたカメラだ。
ハッセルブラッドよりむしろ良い機能が付いている。
初期型はニッコール装着で特にそれをほしがっていた。

ネットオークションで手に入れたということらしい。
そして出品者は不明・・・警察は事件と事故の両面で捜査している・・・もし事件だとすると・・・誰かがシャッターを押すとファインダーが破裂するという手の込んだ仕掛けを作ったということだ。

特殊な技術・・・特殊な知識・・・
 

それが誰なのか・・・考えたくもなかった。

右目が失明したということは、もうカメラマンとしての生命も終わりということになる。

魂を抜かれた男と失明した男・・・少なくともオレは、由季への愛を証明するために写真を撮り続けることができる。
 

オレは・・・幸せなのだ。

由季のおかげで人間らしさを取り戻せているのだから。

 

 

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