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彼女が説明した通りの衣装が出来上がっていた。
恭平は満足していた。
「どう?」
スタイリストの飯島が言った。
「いいね。」
「あら、それだけ?珍しいじゃない・・・いつもは必ず何か言うのに。」
「いや、本当に気にいっているんだよ。」
「美奈のプレはどうだった?」
「堂々としていてすばらしかったよ。それに、そのときにイメージした通りのものが出来上がっている。」
そういって、恭平が彼女の方に笑顔を送ると赤くなって下をむいた。
「美奈、すごいじゃない。橘ちゃんが褒めるなんてめったにないのよ。」
美奈は感謝の気持ち分だけちらっと恭平を見て微笑んだ。
「美奈がデザインして、自分で縫い上げたの。将来有望なスタイリストよ。」
「はい、この4月に入ったばかりです。」
変わって治子が付け足した。
「ちょうど3ヶ月かな? よく動くし、素直で性格もいいし、今時めずらしい子よ。そういえばね、この子ったら橘さんて、すごいですねぇ!って、興奮してたわよ。自信に満ちあふれていて、カリスマ性があるって・・・だめよ、若い子をたぶらかしちゃ。」
「や、やめてください、治子さん!」
「ははは・・・わかったよ。努力する。」
・・・いまさら・・・
もう恋なんてする事はないだろうな・・・
誰かを愛して、やがて失ってゆく辛さは身も心もボロボロにしてゆく。
「えっと、ところで斉藤ちゃん、タレント来てんの?」
「はい、今着いたところです。入ってもらっていいですか?」
「いいよ、入ってもらって。」
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