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菜緒の記者会見のおかげで写真集は爆発的に売れた。

大沼が悔しそうにしているのが目に浮かぶようだった。

僕は、久しぶりに佐島さんに報告がてら電話をかけてみた。
 

「売れていますよ。遠山さんによると大変な反響で、また増刷することになったそうです。そちらは・・・例の週刊誌の件でその後もご迷惑をおかけしているなんてことはありませんか?・・・そうですか、なによりです。こちらは、かえって菜緒の株が上がっていい方向に進んでいます。逆に、写真集の発売に合わせて我々が仕組んだんじゃないかと勘ぐるものもいまして・・・いえ、大丈夫です。菜緒は心配いりません。」

 

僕は、この数ヶ月を過ごして来てそろそろ帰国することを考えていた。

心の整理が必要だった。

菜緒が自立し始めた・・・次は僕の番だ。

菜緒と佐島さんの生き様を見て、今自分が何をすべきなのか?あらためて考えてみようと思っていた。

いつか、本当の自分を見つけて・・・本当のジェウォンとなってもう一度菜緒に会えたら・・・

すべてを整理して、本来のジェウォンに戻るべく・・・もう一度最初からやり直すべく、菜緒のマネージャーを辞めることにした。

 

そして、すべてを清算すべく友人から送られて来た荷を解いた。